ハイドロポニックスとグロウランプ

ハイドロポニックス(水耕栽培、養液栽培)でのグロウランプ

No lights . . . NO PLANTS!

屋外栽培、室内栽培を問わず、「光」は植物にとってもっとも重要なエネルギー源です。
ところが、あなたには十分な光に恵まれた栽培スペースをいつでも利用できる・・・とは限りません。そこで、もしもグロウ・ランプ(植物育成用ランプ)があれば、あなたは好きな場所で好きな季節に好きなプラントを育てることができます。

グロウ・ランプ ? 栽培用につくられたランプはどこがちがうの?

植物を育てるためのグロウランプは、太陽光の栄養を植物におぎなうための照明システムです。

光合成のための光をおぎなう

植物は、太陽の光を吸収して光合成をおこなうことで、養分とエネルギーを得て生命を維持します。
光合成で得たエネルギーで、吸収した水分(H2O)と二酸化炭素(CO2)を ブドウ糖(C6H12O6)をつくります。ブドウ糖は、植物を形成するすべての細胞のベースであり、デンプンやセルロースなどの複雑な多糖類となるほか、チッ素と結合してアミノ酸やタンパク質を作り出します。グロウランプは、太陽光がまったく、あるいは、十分に利用できない環境で植物に光を与え、生長と繁殖を促進します。

 

光合成に利用できる光、PAR

地上に届く太陽光は、おもに紫外線から赤外線の範囲です。このうち、目で知覚できる光の範囲を「可視光」といい、「可視光」範囲を波長単位であらわすと 380 nm〜770 nm です。一方、太陽光のうち人の目で知覚できない光の範囲を「不可視光線」といいます。10nm〜380nmの範囲が紫外線で、赤外線760nm〜830nmの範囲です。

植物が、光合成に利用できる光の範囲を「光合成有効放射=PAR」とよび、PARの範囲は可視光線よりも範囲がすこし狭い、400nm〜700nm です。

 

 

光合成をおこなう色素たち

植物は、クロロフィル(葉緑素)で光を吸収し、光合成をおこないます。クロロフィルには a と b があります。

クロロフィルaは、青色波長 430nmと赤色波長 662nmで吸収がピークとなり、クロロフィルbは青色波長 453nm と 赤オレンジ波長 642nmで吸収がピークになります。

色素であるカロテノイドも光を吸収し光合成することができます。青色派長 450 nmをよく吸収するため、カロテノイド は黄色〜オレンジ色をしています。カロテノイドは光合成をおこなうだけでなく、過剰な光を吸収して細胞を酸化ダメージから守る役割も になっています。

アントシアニンやフラボノイドなどの色素は、光合成こそおこないませんが、紫外線から青色の範囲 400nm 〜 530nm をよく吸収して、光の刺激から細胞を守ります。

 

色素が吸収する光を放射するのが、グロウランプ

紫外線は細胞にダメージを与えるため、人々の生活を照らすための照明ではカットされています。赤外線は物質に吸収されると熱に変わり暖める効果があるため、暖房器具や健康器具などに使われています。一方で植物にとって近紫外線から赤外線までの不可視光線の範囲は、植物を健康に育てたり、花色を鮮やかにしたり、栄養価を高める効果があります。

グロウランプは、光合成を促進させる効果の高いPAR領域を中心の光を放射できます。また、PAR領域だけでなく紫外線から赤外線までの不可視光線も放射できるグロウランプを、全波長範囲という意味の「フルスペクトラム」とよびます。

 

グロウランプの種類

主要なグロウランプは以下の通りです。

  • HIDランプに分類されるもの :
    HPS(高圧ナトリウム灯)
    MH(メタルハライド)
    CMH(セラミックメタルハライド)
    HIDは、ランプ効率(1Wあたりのルーメン数)が高く、光が強いため細胞への透過率が高いメリットがあります。反面、高電圧で点灯させるため外付けの安定器が必要であり、エネルギー効率は低く電力のほとんどが熱に変わってしまうため周辺温度が高温になるデメリットがあります。
  • 蛍光灯に分類されるもの
    T5(ティーファイブ)蛍光灯、CFLコンパクト蛍光灯など
    長寿命で故障に強い、省エネなグロウランプです。外付け安定器が不要なのでセッティングしやすく節電効果も高いです。一方、強い光は放射できず赤色波長が不足しているため、適した植物の種類や生長時期に制限があります。好陰性植物や、幼苗のためのプロパゲーションランプとして定着しています。
  • LED
    つい10年ほど前までは、LEDはグロウランプの選択肢の中に、ほとんどと言っていいほど含まれていませんでした。信じられないほど高額でありながら、栽培効果は非常に低かったためです。しかし今日、LEDはグロウランプのなかで確固たる地位を確立しました。LEDは、放射する光の色を自在にカスタマイズできるため、植物の種類や栽培期間によって使い分けることができるばかりか、使い分ける必要すらないこともあります。
    エネルギー効率が非常に高いため、周辺の温度をあげることもなく長寿命です。さらに価格帯も大変リーズナブルになったことも、多くのホビーガーデナーに選ばれる大きな理由です。デメリットは、LEDチップ(素子)のグレードをはじめ、LEDライト・システム自体のクオリティーに大きなバラツキがあることで、消費者にとって、クオリティーの違いを見分けることがほぼできません。見分けることが困難な最も大きな理由は、製造過程で必ず発生してしまう LEDチップのバラツキです。同じメーカーの同じ生産ラインで同時期に製造されたとしても、発光色が微妙にちがったり、エネルギー効率が低いものが必ずできてしまいます。また、最新モデルのLEDチップは、最もエネルギー効率が高く長寿命ですが、リーズナブルなLEDシステムは、旧モデルのLEDチップを採用しています。高価格で高品質な欧州産のSANlgiht LEDライト・システムは、OSRAMの最先端のLEDチップであることはもちろん、OSRAMで生産されたLEDチップのうち、品質検査をクリアした、上位30%の高価格なLEDチップのみを採用しています。